老犬の耳(聴こえ低下)|呼んでも反応しない時の合図
呼んでも振り向かない、後ろから近づくとびっくりする…これらは加齢による聴こえ低下のサインかもしれません。声の代わりに視覚・振動を使った合図への切り替えと、不安を減らす接し方を整理します。
聴こえ低下のサイン
耳の聞こえはゆっくり落ちることが多いため、変化に気づきにくいです。以下のサインが2つ以上当てはまれば、加齢性難聴の可能性があります。
- 呼んでも振り向かない、または間違った方向を向く
- 玄関のチャイムや家族の足音に気づかない
- 寝ているときに大きな音を立てても起きない
- 後ろから声をかけても無反応、急に触ると過剰に驚く
- 吠える声が以前より大きくなった(自分の声が聞こえないため)
- 寝る時間が増え、眠りが深くなった
耳掃除が原因の一時的な聞こえにくさや、外耳炎による痛みで反応が悪い場合もあります。受診時には日常の様子を伝え、耳の中の状態もチェックしてもらいましょう。
合図を「視覚」と「振動」に置き換える
① 視覚的な合図を増やす
- 呼ぶ時は手を大きく振る、または懐中電灯で軽く床を照らす
- 「待て」「お座り」などのコマンドはハンドサインに置き換える
- ご飯の合図はフードボウルを見せる、または食器を手に持つ動作
聞こえが落ちる前から並行してハンドサインを教えておくと、低下後もコミュニケーションがスムーズです。
② 振動を使う
- 離れた場所から呼びたい時は、床を強めに踏んで振動を伝える
- 寝ているときは、寝床の縁を軽く叩いて起こす(直接体を触らない)
③ 匂いを使う
視覚に頼れない高齢犬には、好きなおやつの匂いを近づけるのも有効です。匂いで「呼ばれている」を伝えられます。
不安を減らす接し方
後ろから突然触らない
聞こえが落ちた犬は、後ろから触られると本能的に強く驚き、稀に噛みつくこともあります。まず犬の視界に入ってから、ゆっくり手を見せて触ります。寝起きは特に注意。
視界に入ってから声をかける
名前を呼んでも気づかれないので、まず正面に立つ、または手を振る、というステップを足します。気づいた後で声と表情で安心させます。
家族全員で同じやり方に統一
ある人だけハンドサインを使い、別の人は声で呼ぶ、というと犬が混乱します。家族で合図を統一すると本人のストレスが減ります。
散歩・外出時の工夫
- 必ずリードを付ける(呼び戻しが効かないため)
- 慣れた静かなコースを選ぶ(自転車・大型犬・子どもの突発音が苦手になる)
- ハーネスタイプで前方の安全を引っ張りで伝える
- 暗い時間帯の外出は避ける(視覚+聴覚の両方が下がる時間帯)
「聞こえ」と「認知」の切り分け
無反応のとき、それが聴こえの問題か認知症の問題かを判断するには、犬が見ている時に手を振る、好きなおやつを目の前に出すなどで反応を見ます。視覚刺激に反応するなら聴覚の問題、視覚にも反応が薄ければ認知機能の低下が併存している可能性があります。受診時に獣医師に判断してもらいます。
よくある質問
聴こえが落ちたら散歩はやめるべき?
むしろ続けるべきです。嗅覚と視覚の刺激は脳の活性化に有効で、認知症の予防にもつながります。ただし呼び戻しは効かなくなるので、リードは必須です。
大きな音を立てて呼ぶのは効果がある?
大きな音は驚かせて逆効果になることが多いです。視覚や振動の合図のほうが本犬にとってストレスが少なくなります。
補聴器のような選択肢はある?
犬用補聴器は研究段階で、現実的な選択肢にはなりにくいです。視覚・振動・匂いを使ったコミュニケーションへの切り替えが主流の対応です。
突然聞こえなくなった場合は?
急性発症は中耳炎・耳道閉塞・薬剤性難聴などの可能性があり、早めの受診が必要です。耳から異臭・分泌物がある場合は感染症も疑われます。